登別温泉の再開発と道路整備について
―市街地再編成計画―中 浜 元 三 郎
登別市長
1. 温泉市街地再編成の必要性
登別温泉は道内有数の温泉地として120年有余の歴史を誇り,
全国的にも広くその名が知られております。
しかも「豊富な湯量」と特異な火山性景観を現出する「地獄谷」を擁して広く道内外客を吸引してきており,
雄大な湖沼を背景とした洞爺湖・支筋湖・阿寒のような道内有数の温泉観光地を上回る観光実績は,
登別温泉の資源特性に根ざしたものとして高く評価されております。
狭隘な渓谷上に形成されている温泉市街地は,
これまでその温泉地の風情・情緒をかもしだし,
大きな魅力となって北海道の主要観光地として位置づけられてきました。
しかしながら, 登別市の年間観光入込み客数は, 昭和58年度約280万人と札幌・中山峠について第3位の位置を占めていますが,
経年的には昭和50年度以降, 低迷を続けている状況にあります。
一方において,
観光レクリェーション需要の増大と広域交通網の整備など登別温泉発展のための外部条件は明るい展望にたっております。
特に「登別」をとりまく広域交通網は,
近年大幅に整備されつつあり,
北海道縦貫自動車登別東インターチェンジ(昭和60年10月供用開始)から温泉地区への入込み,
主要道道洞爺湖登別線(オロフレ峠冬期通行可能)昭和63年の開通予定および将来的には国道276号の拡幅整備,
道道札幌・室蘭線(仮称)の実現化など広域観光流動のための道路条件が本格的に整うことになるものと予想されます。
さらに,
青函トンネルの開通にともなう新幹線の札幌への乗り入れや新千歳空港(国内線・国際線)の開港は,
道外・国外観光客の登別への流入が大きく見込まれることが期待されます。
このような将来展望にたって,
単に豊富な湯量と地獄谷・クマ牧場のイメージから脱却して「国際温泉都市」を目指して早急にソフト・ハード両面にわたる受入れ体制の整備,充実を図る必要があります。
2. 現状の問題点と課題
登別観光の主要拠点である温泉市街地の問題点と課題は,
施設的な面からは次の3点に要約されますが,
その内在する基本問題は,
ひとつには市街地周辺が支笏・洞爺国立公園に指定されているため,
自然観光資源の有効利用がなかなかされにくかったことと,
ふたつには市街地そのものが急峻な地形に囲まれることにより土地の物理的な狭さによって,
市街地の発展拡大は土地の有効利用と施設の立体化・複合化によらざるを得ないものと考えられます。ことから,
問題点と課題は次のとおりであります。
(1) 観光地登別温泉として,
観光資源の目玉商品に乏しい。
現状は地獄谷とクマ牧場によって代表されますが,
国際温泉都市として,
また通年型観光を目指すには魅力に欠けます。
市街地周辺には地獄谷のほか, 倶多楽湖,
大湯沼など未利用観光資源があり,
これらの有効利用とカルルス保養温泉地区から上登別, 中登別,
更に海岸線の登別地区を含めた広範囲に亘る地域にレクリェーションスポーツ研修施設等の導入を図り,
若年層から老人層に至るまでの多様な需要階層に応じる観光拠点の設置が必要であります。
(2) 市街地中心部の土産物, 飲食, 娯楽などの商店街は魅力に乏しく,
また, 観光客が楽しく買物, 散策できる「買物通り」がない。
商店街の真中を通る道道倶多楽湖公園線は, 歩車道分離もなく,
幅員10〜11mと狭いところに,
観光客・買物客と観光バス・自家用車・商店サービス車が混然一体となっており,安全で快適な「買物通り」としてほど遠い状況下にあります。
このような道路状態にあっては, 観光需要そのものが抑制され,
まさに, 道路機能の麻痺によって,
観光価値が低下の一途をたどることが予想されます。
したがって, 今後,
商店街の近代化と歩行者優先の温泉モールを整し,
魅力と情緒ある買物空間を創立することが課題であります。
(3) 交通量の増大に現在の道路では対応しきれないことと,
駐車場の不足。
交通量調査の結果によりますと, 昭和58年8月の休日(観光シーズンのピーク時)における交通量は,
温泉市街地内で約7,000台/日に達し,
すでに交通渋滞を起している現状にあります。
今後, 交通量の増大に対処するため,
また商店街の現道道をモール化するため,
車主体の道路を新らたに設けるとともに,
適切な位置に現在以上に駐車場を確保する必要があります。
3. 再編成計画の概要
観光レクリェーション需要の増大と広域交通網の整備に対応する登別温泉観光の受け入れ体制としての市街地および周辺の再編成計画の概要は,
次のとおりであります。
(1) 市街地内外にわたる観光レクリエーション施設の整備
観光客を吸引するため,
市街地内には温泉利用を中心とした都市的,
多目的な観光レクリェーシヨン施設を市街地に,
外には地獄谷〜倶多楽湖周辺の自然観光資源を積極的に利用する施設の整備が急務てあります。
(2) 中心商店街の活性化, 近代化
土産物, 飲食娯楽などを含む中心商店街は, ホテル,
旅館の大規模化,
複合化と商店街としての魅力の乏しさから衰退化の傾向をたどりつつあるため,
商店街の近代化を図るとともに, ウインドウショッピング,
散策など楽しい, かつ温泉情緒のある外部空間(温泉モール)を創出させたい。
(3) 車主体の道路の新設促進と温泉モールの段階的整備
温泉市街地内の将来交通量(昭和75年)は, 観光地の特性(季節別変動・曜日別変動)から,観光シーズンにおける休日交通量は13,000台/日〜15,000台/日
になると推定されています。(室蘭土木現業所推定)
したがって, 中心商店街を通る道道倶多楽湖公園線の幅員( 10〜11m
)では対応しきれないため,
市街地内にこれに代わる新らたな道路が必要になってきたことと,
中心商店街の活性化と不即不離の関係にある温泉モールは,
当面歩道の整備を行い(今年度事業着手の予定),
車主体の道路が新設された段階で現道を人間主体の温泉モールとして整備する予定であります。
さらに, 交通量の増大と市街地内への車の流入を極力避けるため,
市街地両端に地獄谷公共駐車場の拡張と交通ターミナルセンター(バスターミナル・駐車場・都市広場)を設けるようにしたい。
4. あ と が き
登別温泉観光の発展は,
以上のように恵まれた観光資源の開発と旅館,
商店街の近代化・活性化によって,
はじめて可能となるものでありまして,
この観光資源の有効利用と商店街の活性化には,
中心市街地内の現道を楽しく,
かつ危険がなくショッピングや散策できる温泉モールとして再整備するとともに,
防災的見地からも現道に代わる車主体の道路を新たに設けることが是非とも必要となってまいりました。
このままでは, 登別温泉は衰退する,
なにかをしなければならないといった潜在意識は前からありましたが,
現実の間題としては,
観光シーズンにおける温泉市街地内道道倶多楽湖公園線ただ一条のみで,
防災的な活用面と交通混雑(交通量の増加, 観光客と車の混合)がきっかけとなって,
温泉街の活性化と交通問題につきましては,
行政と地元温泉街が一体となって取組み, まさに,
再開発の気遣が盛り上がっているのが現状であります。
このような実態から, 道道倶多絡湖公園線の問題に関し,
北海道土木部および土木現業所におかれては,
将来にわたる計画であることから, どのようにすべきかについて,
市において独自で関係機関が検討できる計画調整のタタキ台となるものを策定することが必要であるとの御意見をいただきました。
これを受け, 市といたしましては, 昭和54〜55年度の2ヵ年度において,
観光入込み客と交通量の解析, 推計, さらに経済波及効果,
事業の難易性などの検討とあわせ,
現道道の拡幅とこれに代わる代替道路5案を検討し,
登別温泉市街地内道道倶多楽湖公園線の施設計画概要書を策定し,
北海道に報告御要請をしたところであります。幸い,
御理解を賜わり, 北海道におかれましては,
室蘭土木現業所を中心に現道道に代わる代替道路の必要性とルート選定についての調査を昭和57年度より開姶され,
現在に到っております。
ルート選定にあたっては,
温泉市街地再編成と市街地内代替道路が不即不離の関係にあることから,
市街地再編成計画を具体化することが必要であり,
市といたしましては, 観光協会の意向をも反映させ,
登別温泉市街地土地利用計画を策定しましたので,
これを指針として実現に努力してまいりたい。
以上のような経過過程から地元観光協会,
極楽通り商店会振興組合, その他機関, 市ともども目的達成のため,
全力を傾注してまいる所存でありますので,
北海道におかれましても,
一日も早い計画の樹立と早期事業化されますことを紙上をお借りいたしまして念願いたす次第であります。