最近の都市計画及び制度の変更に係る話題
建設部まちづくり推進室
都市計画課課長補佐 紺野 寛
はじめに
本道における都市化の進展は著しく、全道面積のわずか7.7%の都市計画区域に、道民の87%に当たる約495万人の人口集中があります。
人口・産業の都市への集中による拡大、いわゆる「都市化社会」から都市化が落ち着いて産業・文化等の活動が都市を共有の場として展開する「都市型社会」へ移行しています。一方「中心市街地の空洞化」、「中心市街地活性化法」で表現されるように、都市部における諸問題も表面化してきています。
また、地方分権等に伴う都市計画制度の変更の作業が現在行われており、この辺の近況等についてもふれたいと思います。
記念すべき第200回を越える北海道都市計画地方審議会の開催
昭和44年9月に、現行の都市計画法に基づき第1回審議会を開催して、平成12年2月末現在で、第202回(審議案件5,865件)となりました。
北海道の行政人口や、都市計画区域内に占める人口割合の近い他県と比較しても、都市計画市町村数が多い分、審議会の回数が突出しております。
|
行政区域 |
都市計画区域 |
都市計画 市町村数 |
都計審 議回数 |
|||||
| 面積(km2) | 人口(千人) | 面積(km2) | 割合(%) | 人口(千人) | 割合(%) | |||
| 北海道 | 83,452 | 5,693 | 6,450 | 7.7 | 4,958 | 87.1 | 103 | 202 |
| 千葉県 | 4,996 | 5,832 | 3,004 | 60.1 | 5,298 | 90.8 | 45 | 129 |
| 愛知県 | 5,117 | 6,870 | 3,367 | 65.8 | 6,825 | 99.3 | 72 | 4/年 |
| 兵庫県 | 8,392 | 5,383 | 3,941 | 47.0 | 5,016 | 93.2 | 58 | 4/年 |
| 福岡県 | 4,838 | 4,963 | 2,567 | 53.1 | 4,450 | 89.7 | 54 | 164 |
五十嵐 日出夫教授に知事感謝状
昭和51年4月より昨年11月まで、23年7ヶ月と永きにわたり北海道都市計画地方審議会委員に就任され、また、平成7年からは、審議会会長に就任されました。
昭和51年以降、地区計画制度の創設、用途地域の細分化、都市計画決定事業に係る環境影響評価の実施などが開始されました。
また、特に、地元でも賛否が分かれた昭和55年の小樽臨港線(小樽運河関連)の変更をはじめとする数多くの審議に当たり、また、当審議会の公開については率先して取り組むなど審議会の円滑な運営に尽力され、北海道の都市計画行政の推進に大きく寄与されたことから、北海道知事より感謝状を贈呈しその功績に感謝いたしました。
都市計画道路の現況調査結果について
昨年、建設省都市計画課において全国の街路の状況調査がありました。
この中で注目すべき項目としまして
| 改良済区間 |
事業中区間 |
未着手区間 |
合計 |
||||||
| 北海道 |
2304 |
57.9 |
223 |
5.6 |
1452 |
36.5 |
3979 |
100 |
|
| 札幌市 |
636 |
83.7 |
57 |
7.5 |
67 |
8.8 |
760 |
100 |
|
| 合計 |
2940 km |
62.0% |
280 km |
5.9% |
1519 km |
32.1% |
4739 km |
100 % |
|
平成11年4月1日現在、道内における都市計画道路(自動車専用道路・幹線街路・区
画街路・特殊街路)の延長は、5,009kmあります。
このうちの約94.6%の4,739kmが幹線街路で占められ、以下がその詳細です。
未着手区間(幹線街路)の具体的状況(都決後の経過年数と未整備延長)
| 5年未満 |
5〜10年 |
10~20年 |
20~30年 |
30~40年 |
40~50年 |
50年以上 |
合計延長 |
対全延長 |
|||||
| 現道なし→2車線整 備区間 |
道 札幌市 |
28.6 1.3 |
11.9 0 |
2 |
8.4 |
41.1 |
28.4 |
15.9 |
2.6 |
156.8 |
10.8 |
||
| 1.0 |
3.3 |
2.6 |
0 |
0 |
8.2 |
12.2 |
|||||||
| 現道なし→4車線整 備区間 |
道 札幌市 |
4.3 0 |
15.3 0 |
7 |
8.3 |
32.4 |
18.5 |
9.0 |
1.2 |
159.0 |
10.9 |
||
| 0 |
1.9 |
0.5 |
0 |
0 |
2.4 |
3.6 |
|||||||
| 現道1車線→歩道・ 車道の拡幅区間 |
道 札幌市 |
3.7 0 |
8.5 0 |
3 |
0.2 |
14.8 |
8.1 |
33.3 |
0 |
98.6 |
6.8 |
||
| 0 |
0 |
0 |
0 |
0 |
0 |
0 |
|||||||
| 現道1車線→2車線 化整備区間 |
道 札幌市 |
0.5 0 |
0.6 0 |
3.1 |
14.0 |
7.5 |
2.4 |
0.5 |
28.6 |
2.0 |
|||
| 0 |
0 |
0 |
0 |
0 |
0 |
0 |
|||||||
| 現道1車線→4車線 化整備区間 |
道 札幌市 |
18.3 0 |
0 0 |
0.1 |
1.4 |
1.3 |
3.4 |
0 |
24.5 |
1.7 |
|||
| 0 |
0 |
0 |
0 |
0 |
0 |
0 |
|||||||
| 現道2車線→歩道・ 車道の拡幅区間 |
道 札幌市 |
47.7 7.5 |
80.3 4.3 |
11 |
5.9 |
199.7 |
170.1 |
61.6 |
23.1 |
698.4 |
48.1 |
||
| 5.1 |
6.8 |
3.0 |
1.0 |
6.0 |
33.7 |
50.1 |
|||||||
| 現道2車線→4車線 化整備区間 |
道 札幌市 |
27.1 0 |
17.5 0 |
5 |
0.0 |
24.3 |
60.4 |
24.5 |
14.0 |
217.8 |
15.0 |
||
| 0 |
1.3 |
1.4 |
0 |
2.1 |
4.8 |
7.1 |
|||||||
| 現道4車線→歩道・ 車道の拡幅区間 |
道 札幌市 |
0.5 1.6 |
0.2 0 |
1.2 |
2.2 |
1.8 |
0 |
3.0 |
8.9 |
0.6 |
|||
| 0 |
0.4 |
1.9 |
0.9 |
10.0 |
14.8 |
22.0 |
|||||||
| その他 |
道 札幌市 |
0 0 |
9.2 0 |
2 |
0.6 |
2.0 |
1.1 |
26.6 |
0 |
59.5 |
4.1 |
||
| 0 |
0 |
3.2 |
0.2 |
0 |
3.4 |
5.1 |
|||||||
合 計 |
道 札幌市 |
130.7 10.4 |
143.5 4.3 |
32 |
7.8 |
331.8 |
297.2 |
176.7 |
44.4 |
1452.0 |
100.0 |
||
| 6.1 |
13.7 |
12.6 |
2.1 |
18.1 |
67.3 |
100.0 |
|||||||
| 対全延長に対し3割を越えるもの |
対全延長に対し3〜2割を占めるも |
の |
一目瞭然となるが、都市計画の決定後20年以上経っても整備着手されていない幹線街
路は、道においては約59%の850〓、札幌市においては約69%の47〓の結果とな
っている。
身近に歴史の経過と当時の経済状況を理解していただくため、この頃の北海道の主要な
出来事をみると、
1958(昭和33年) 北海道大博覧会開催
1968(昭和43年) 北海道百年記念祝典開催
1971(昭和46年) 道央自動車道(千歳〜北広島)、札樽自動車道(札幌〜小樽)開通
札幌市営地下鉄(南北線)開業
1972(昭和47年) 第11回冬季オリンピック札幌大会開催
1986(昭和61年) 第1回冬季アジア競技大会
1988(昭和63年) 青函トンネル開通、新千歳空港開港
ところで、都決により建築制限がはたらき、建て替え時のセットバックなどを一部目的
としていることを考慮しても、20年が過ぎあるいは30・40年と時が経ち世代交替を
しても我が家の前の街路が整備されない。このような状況のとき皆さんはどう思われます
か?
都市計画制度の変更と地方分権
最近の都市計画制度の変更については、以下の2つに大別されます。
(平成12年4月1日施行予定)
まず、ここで地方分権一括法の基本的な考えについてですが、
機関委任事務制度の廃止及びそれに伴う事務区分の再構成について
ここで、
自治事務=地方公共団体の処理する事務のうち、法定受託事務を除いたもの
法定受託事務=国が本来果たすべき役割に係る事務であって、国においてその適正
な処理を特に確保する必要があるものとして法律又は、これに基づ
く制令に特に定めるもの
これは、現行都市計画法上、機関委任事務と整理されている事務については、ごくわず
かの例外を除き、自治事務となり、また団体事務とされている市町村による都市計画の決
定等の事務についても、同様に自治事務となります。
(参考)
の縦覧に供する事務
臣の指示を受けて代執行する事務
国の関与等の見直しについて
ここで
法定主義の原則=関与は、法律又はこれに基づく制令の根拠を要する。
一般法主義の原則=関与は、その目的を達成するために必要最小限のものとし、
かつ、地方公共団体の自主性・自立性に配慮する。
これは、都市計画の決定に対する国又は都道府県の関与に係る改正では
と変更され、また建設大臣の同意や都道府県知事の同意が後見的な関与を含まないことを
示するため、それぞれの「同意を要する協議」の観点を明確化している。
この観点は、「国の利害との調整・市町村の区域を越える広域調整」を図ることとして、
現在当課にて「同意の基準」を作成中です。
市町村都市計画審議会の法定化等について
現在、通達により設置を指導している市町村都市計画審議会を法定化し、市町村は都市
計画の決定に際し、市町村都市計画審議会の議を経れば、都市計画地方審議会の議を経る
ことは不要となります。
なお、市町村都市計画審議会は、任意設置となっています。これを図式化すると
| 都市計画の案の公告縦覧 |
市町村都市計画審議会への付議 |
都市計画地方審議会への付議 |
都道府県知事の承認 |
| 都市計画の案の公告縦覧 |
市町村都市計画審議会への付議 |
都道府県知事の同意 |
|||||
| 都市計画の案の公告縦覧 |
都市計画地方審議会への付議 |
都道府県知事の同意 |
指定都市の都市計画決定権限の拡充等について
指定都市の区域内においては、現行都市計画法によると、都道府県が定めることとされ
る都市計画については、線引き都市計画及び特に広域の見地から決定すべき都市施設に関
する都市計画を除き、指定都市が定めることとすると改正されます。
また、指定都市の市町村都市計画審議会は、必置ということにされています。
特例市への権限委譲について
地方自治法が改正され、人口20万人以上の市が特例市として位置づけらました。現在、中核市に
まで委譲されている都市計画の事務を、特例市まで委譲するということになります。
(特例市というのは20万人以上、中核市というのは30万人というような形になってい
ます。)
その他の改正
参考までにその他の改正についてですが、開発許可制度に係る改正が行われ、現在、中
核市まで委譲されている開発許可の事務については、特例市まで委譲するということとと
もに、開発審査会については、都道府県及び指定都市に加え、中核市及び特例市にも設置
可能となります。
また、現行、開発許可の事務については、人口10万人以上の市にしか委任できないこ
ととなっていますが、この制約を廃しまして、どのような市町村に対しても委任可能とす
るということになりました。
本年2月8日に、都市計画中央審議会より「今後の都市計画制度のあり方について」と
して答申が出されたので、その概要を記載します。(別添資料参照)
現行都市計画法の制定後30年を経過し、「少子高齢化、モータリゼーションの進展等、都市をめ
ぐる社会経済環境の大きな変化」「地方公共団体が主体となって、地域特性に応じた都市の整備と環
境の保全に取り組み得るよう制度の見直し」を背景として、インターネット等により国民各層から意
見募集を行うなどの手続を経このたび発表されました。
都市計画のマスタープランの充実について
これまでは、都道府県が作成するマスタープランは、札幌圏、函館圏という線引きされ
ている都市計画区域ごとに、「整備、開発又は保全の方針」というものを作っていました。これを、
その他の線引きされていない都市計画区域まで拡充し、「都市計画の方針」と
して、よりその機能を高めることとしています。
道内の都市計画を持つ103市町を網羅したマスタープランの作成が法定化されること
を意味します。
線引き制度及び開発許可制度について
都市計画区域を市街化区域と市街化調整区域に区分する、いわゆる線引き制度について
は、全国一律の制度として導入され、無秩序な市街化を防止するため機能してきた制度で
した。
しかし、現在ではスプロール現象も落ち着きを見せており、地域の実情に応じて柔軟な
規制が求められてきています。このため、今後は、三大都市圏と政令指定都市の区域をの
ぞき、都道府県が市街化の状況や見通しを踏まえて、線引き制度を維持するか否かを判断
できることとなっております。
また、市街化調整区域内の開発許可制度につきましては、市街化調整区域がなし崩し的
に開発可能地として広がることのないよう配慮しつつ、新たに許可しうる開発行為を2類
型ほど追加するべきとなっています。
既成市街地再整備のための新たな制度について
既成市街地にあっては、土地の有効高度利用が特に求められております。
このため、道路などの都市施設の立体的整備を進めるため、空間や地下の範囲まで都市
計画決定できること、また都心部等の商業地域では、複数の建築物の容積率を合算して活
用する制度を創設するとなっております。
あわせまして、地区計画については、用途地域が定められている区域においては、必要
に応じてどのような区域でも策定できることとすべきとなっております。
環境保全のための制度の充実について
現在、自然環境や美しい町並みの保全が、質の高い都市環境を確保するための重要課題
となっております。
このため、緑地の保全については、小規模な風致地区の都市計画決定を市町村とし、き
め細かく規制を行うこととしてます。
また、現行の未線引きの都市計画区域で、用途地域が定められていない区域、いわゆる
「白地地域」と呼んでいる地域については、土地利用規制が緩いため、新たに仮称ですが
「特定用途制限地域」を創設し、特定の用途の建築物のみ制限する地域地区と位置づける
としています。あわせまして、白地地域における容積率、建ぺい率を見直し、現行容積率
400%、建ぺい率70%をそれぞれ50%、30%までの範囲で指定できることとして
おります。
廃棄物処理施設につきましては、特に産業廃棄物処理施設について、都道府県の都市計
画決定として、積極的に決定していくべきとなっています。
都市計画区域外における開発行為や建築行為に対する規制の創設について
近年、都市計画区域外であっても、既存集落周辺や幹線道路沿いなどに無秩序な開発行
為や建築行為が見られ、交通渋滞などの問題の発生を見ております。
このため、これも仮称ですが「準都市計画区域」を指定できることとし、用途地域等の
地域地区や地区計画を定められる仕組みを創設することとなっております。
都市計画決定システムの合理化について
都市計画決定における透明性と地域の実情に応じた柔軟性を確保するため、制度の充実、明確化を
図るものとなっております。
国においては、この答申を踏まえ、今国会に都市計画法の改正案を上程し、平成13年
から施行の予定となっております。
【参考資料】
「経済社会の変化を踏まえた新たな都市計画制度のあり方について」
(報告の概要)
都市計画中央審議会基本政策部会
都市計画制度小委員会
具体的に講ずべき施策 |
(整備、開発又は保全の方針)を拡充し、全ての都市計画区域で策定。
は、都市計画マスタープランに即して市町村が定めるものとして、基本的な
枠組みを維持。
を、地域の実情に応じ都道府県が判断。
1市街化区域に隣接・近接し、相当数の建築物が連たんした地域における一
定用途の開発行為
2周辺における市街化を促進するおそれがなく、かつ、市街化区域内におい
て行うことが困難又は著しく不適当な開発行為としてあらかじめ区域、目的
又は予定建築物等の用途が定められたもの
に取り扱う。
下)を都市計画決定できることとし、決定された施設の区域内の建築制限を緩和。
域全体の土地の高度利用を図る必要性が高い区域を都市計画で定め、建築基準法 と
連動して、市街地環境の維持向上を図りつつ、未利用容積を他の敷地で有効活 用することを
可能に。
府県から市町村に委譲。
用途の建築物の規制の導入
の建築を制限できる「特定用途制限地域」(仮称)を創設。
50%、30%までの範囲で、土地利用の状況に応じて指定。
の決定主体を都道府県に変更。
ている区域を、市町村が「準都市計画区域」(仮称)に指定し、用途地域、風
致地区等の地域地区及び地区計画を定められる仕組みを創設。同区域内では、
開発許可及び建築基準法の集団規定を適用。
たに開発許可制度を適用。
画を定める理由(必要性)を記載した書面を併せて縦覧。
等全国共通の課題への対応についても、国の考え方を提供。
提供を求めること、市町村から案の申し出ができることを規定。
を明記。
情報提供及び都市計画の専門家の有効活用の仕組みが必要。